短歌が広がっていく世界のはじっこで2020年を記録していきます

TANKA WORLD REPORT 2020

この記事は、2020年に歌壇(短歌の世界)で起きた出来事をまとめて記録したものです。

当サイトでは現在短歌関係コンテンツの一つとして「現代短歌の事件簿」の充実に力を入れています。過去の記録の探索と追加も重要な仕事ですが、今現在において次々に起き続ける出来事を記録していくことも当然求められます。

特に迷うことなく史に記すべきと思える大きな出来事ならばいいのですが、まだ顛末が見えない出来事や、重要性が図れない出来事も多く、年表に記すべきか迷うことも多いものです。

そこで当サイトでは通史の年表とは別に、当年に限った年表を記録するための記事を用意して、ここに手あたり次第短歌界で起こった出来事を記録していくこととしました。いわば「現代短歌の事件簿」の下書きのようなつもりです。

残念ながら私一人の力では非力に過ぎて、多くの出来事を取りこぼすことは明白です。できることなら皆さんの協力をもらえればありがたいです。

いただける情報は短歌に関することであれば何でもかまいません。個人的なサイトの開設や同人誌、ネプリの発行など、その重要性を判断するのは今の私でもあなたでもなく、時が判断してくれることでしょう。当然ながらネット上の出来事に限るものでもありません。

情報をお持ちの方はコンタクトフォームまたはTwitterのほうからご連絡よろしくお願いします。

なお、この記事は新たな情報が得られ次第随時更新していきます。

Image by Avi Richards on Unsplash

2020年の短歌界の出来事

1月12日未来短歌会に「ハラスメント委員会」が設置される
1月13日文芸アイドルグループ「朝ぼらけの紅色は未だ君のうちに壊れずにいる」(略称:アサキミ)がデビューライブを行う
1月29日山本かね子逝去
2月22日絶版となっていた永井祐の第1歌集『日本の中でたのしく暮らす』が短歌研究社から復刊される。2012年に刊行された同書はBookParkが提供する「現代短歌 歌葉」から出されたものであったが、同サイトが閉鎖、サービス提供を終了したため長らく絶版となっていた
3月3日UR都市機構西日本支社が発信するウェブマガジン「カリグラシマガジン うち まち だんち」にて、一枚の部屋の写真から谷じゃことゲスト歌人が短歌を綴るコーナー「部屋にうたえば」の連載がはじまる。第1回は岡野大嗣を迎えて
4月7日2018年にバズった(1.5万RT、5.2万いいね)岡本真帆の歌「ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし」。当時大喜利大会の様相も呈していたが、岡本本人が「ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、凍ったいくら風呂で解かすし」とセルフアレンジし、湯舟に冷凍いくらを浮かべた写真とともに投稿。大いにバズる(2.3万RT、14.3万いいね)。大喜利大会が再燃した
4月14日石川恭子逝去
4月16日荻原裕幸が19年ぶり第6歌集となる『リリカル・アンドロイド』を刊行
5月1日アサキミが「オンライン歌会」を開催。同月23日にはVol.2を開催
5月31日「たにゆめ杯」が開催
6月9日君野シリウス(眠れる川)が年齢を問わない青春をテーマに作品を募集する第1回目となる「青春短歌甲子園」を開催
6月9日冷泉家が古文書等を保存する土蔵建設の資金を募るためクラウドファンディングを実施。目標額の350万円を1日で達成、6月12日には1千万円を超え、最終的には(9月8日終了)12,889,500円に至った
6月12日書肆侃侃房が新シリーズ「現代短歌クラシックス」をスタート。第1弾は飯田有子の『林檎貫通式
6月13日短歌と写真による「BL(ボーイズラブ)」をテーマとした企画展「叛亂の豫感」が開催。8月2日まで。北夙川不可止と北沢美樹による写真歌集も刊行
6月14日札幌よしもとのYouTubeチャンネル「さつよしTV」が「芸人がzoomで歌会」を開催放送(当日はトラブルで別アカウントから放送)以降「芸人歌会」として回を重ねる
6月25日石川不二子逝去(報道では25日ごろとあり正確な日時は現時点で不明)
7月1日キュレーションサイト「NAVERまとめ」が9月30日をもってサービスを終了することを発表
7月4日いりの舎が「うた新聞」7月号を発行。創刊から100号となる
7月6日ナナロク社が公開公募で第1歌集出版を支援する企画「あたらしい歌集選考会」を発表
7月6日俵万智、野口あや子、小佐野彈の指導のもと歌舞伎町ホスト75人の合同歌集『ホスト万葉集』が刊行
7月7日左右社に編集として所属する「筒井 or 太田」のツイートがバズる(5,000RT、2.9万いいね)。短歌は今若者の間で流行しているらしい
7月10日岡井隆逝去
7月16日岡井隆逝去を受け未来短歌会は大辻隆弘を新理事長に
7月19日7月末を発売日とする橋爪志保&榊原紘の短歌同人誌「短歌の世」がBOOTHにて先行販売を開始
7月22日8月5日のパピコの日に向けてグリコがスペシャルムービーキャンペーンを展開。青春をテーマに木下龍也、岡野大嗣、初谷むい、田中ましろが短歌を提供。
7月23日「アサキミ」が解散
7月25日短歌と写真のフリーペーパー「うたらば」vol.27で10周年を迎える
8月1日第1回青春短歌甲子園の結果発表。1位に一音乃遥など
8月1日六花書林が創業15周年を迎える
8月8日今年も「CDTNK(カウントダウン短歌)」の夏フェスが開催。今年で4回目
8月23日第5回万葉短歌バトルin高岡の結果発表。渋谷教育学園渋谷が初優勝
8月27日第10回牧水・短歌甲子園の結果発表。三重県立高田高等学校が初優勝
8月31日2018年12月で「歌のわかれ」を宣言していた石井僚一が突如として電子書籍で歌集『目に見えないほどちいさくて命を奪うほどのさよなら』を刊行
8月31日今年もTANKASONIC2020が開催。ネットプリントで配信される
8月31日「屋上と短歌」10回目を記念して「屋上と短歌杯」が開催。投稿は9月20日まで、結果は10月24日の「屋上と短歌10」にて発表
9月1日(13日まで)歌人木下龍也が展示されて来場者一人一人にその場で短歌を詠む(予約制)という企画展「あなたのための短歌 展」が開催。客のエピソードに合わせての即詠という難しい試みながら、好評のうちに無事終了
9月12日枡野浩一が枡野書店にゲスト歌人を招いて短歌に関わるトークを配信するYouTube番組「枡野と短歌の話」の第1回が配信される。第1回ゲストは山階基。黒字化も果たし先ずは成功を収める
9月13日戸似田一郎の唐突な思い付きにより架空の大学内の短歌会という体で短歌同人「戸似田大学短歌会」が創設、Twitterアカウントも作られる。思いのほか反響は大きく1日で参加希望者20人を超過。その後18日には実在の大学と混同される名称は問題ありとの判断から、名称を「とにたん」と変更
9月15日出版物の総額表示義務化の初報を受け、カバーの再印刷や掛け替えの負担による中小出版の倒産や絶版を懸念した層が、Twitter上で「#出版物の総額表示義務化に反対します」のタグを作り反対運動を展開。16日にはトレンド入りする。その後の続報で、4月1日以降発売の書籍から適用されるとのことで業界団体もこれを容認する姿勢であることが判明。やや沈静化も引き続き議論が交わされることに。
9月16日「眠れる川」主催の「青春短歌甲子園」が第3回にして投稿者100人を超えの発展を見せる(117人326首)
9月30日俵万智が第6歌集となる「未来のサイズ」を刊行
10月26日10月1日に官房記者会見で明らかになった「日本学術会議の任命拒否問題」に対し「現代歌人協会」と「日本歌人クラブ」の2団体が共同で「日本学術会議の新会員任命拒否に反対する声明」を発表
10月27日未来短歌会の運営委員長が大島史洋から中沢直人へ交代
10月30日長井めも、による企画「次席短歌連絡会」が始動。毎月「うたの日」の各歌会で次席となった歌を募集するもの。
11月1日ホームレス自立支援誌「The BIG ISSUE」誌の394号において特集「いよいよ、短歌」と題して山田航、井上法子、木下龍也の「短歌との出合いや、80年代生まれの歌人」についてのエッセイが掲載される
11月1日あの井、による企画「覆面短歌倶楽部」が始動。短歌を募集し、それらを毎月PDFに無記名でまとめ公開、次号にて作者名を明かすもの。選評やランキングなどは行わず、ただ発表するだけというユニークな物
11月2日NHKのラジオ深夜便「ほむほむのふむふむ」において、ゲスト千葉聡が古今和歌集の序文「仮名序」を歌詞として自ら作曲した歌を歌い、その美声を披露
11月2日11月1日までに募集されていた千原こはぎ企画の「Re:短歌3」が完成。web閲覧版・PDFダウンロード(印刷用)版が提供されるとともにネットプリント配信も提供される。A5版、全52ページ、94組188名による全752首という過去最大の規模に
11月3日映画『滑走路』が第33回東京国際映画祭(10/31~11/9)の特別招待作品としてプレミア上映およびその上映前舞台挨拶がこの日行われた。水川あさみら出演者や大庭功睦監督が、原作歌集からお気に入りの一首を発表するなど、同作品ならではの挨拶が行われた
11月3日女性がんサバイバー25人が岡野大嗣のレッスンを受けて合同歌集の出版を目指す「あの日の風を記憶するわたしの31字」プロジェクト(5月から活動)がREADYFORにてクラウドファンディングを開始。その日の内に、開始から約12時間ほどで目標の63万円に到達した。
11月3日小池光が芸術文化功労により旭日小綬章を受章
11月7日中地俊夫逝去
11月8日全国高校生短歌オンライン甲子園が開催。高校生団体短歌大会の主要三大会(盛岡、高岡、牧水)の優勝校および強豪校の6校が一堂に会し腕を競い合った。史上初の全国規模での高校生団体日本一を決める大会であるとともに、コロナ禍の苦肉の策とはいえオンラインの試みも初めてのもの。優勝に高田学苑高田高等学校、準優勝に五ケ瀬中等教育学校
11月12日消費税総額表示について、出版社有志による「一律義務化反対&消費税法の改正提言書」が出される
11月15日第1回次席短歌連絡会の結果発表。前日14日にツイキャスにて、第1回のゲスト選者toron*により選ばれた6首の公開批評会が行われた。その後の公開投票により、初代最重要連絡事項(ジセキング)に若枝あらう、次席オブ次席に山口綴りが決まった
11月20日映画『滑走路』が全国公開される
11月27日「装苑」1月号に工藤玲音の短歌10首「薔薇泥棒」と短文が掲載
12月4日さつよしTVの「第8回芸人歌会」に俵万智がゲストとして参加
12月9日「ことば」をきっかけに商品をキュレーションするイベント「幸服箱」が、伊勢丹新宿店本館3階のリ・スタイルにて開催(12月9日~25日)。本屋「文喫」とのコラボとして同店がセレクトした二人の歌人、伊波真人、鈴木晴香の短歌が採用されディスプレイされた
12月10日龍翔と千原こはぎによる、『紙上忘年会!「短歌な大忘年会2020 in the zine~うたげ」』が完成。ネットプリント、HTML、PDF等を提供。コロナによる影響で例年関西で行われていた忘年会を断念し代わりに紙上忘年会として企画されたもの。11月3日発表、11月4日から11月30日にかけて募集されていた
12月10日永井祐が8年ぶりに第2歌集となる『広い世界と2や8や7』を刊行
12月21日木下龍也が【村上春樹さん作中の短歌を勝手に推敲してみた】として、村上春樹の短編小説集『一人称単数』内の小説「石のまくらに」に出てくる短歌を推敲する企画をTwitter上で発表
12月21日カン・ハンナが第21回現代短歌新人賞を受賞。外国人として初であるとともに結社無所属の歌人が受賞するのも初のことだった

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