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高額順!賞金が出る短歌の公募やコンクールなどの投稿先まとめ

この記事では数ある短歌の公募の中でも、比較的高額な賞金が出る投稿先についてまとめています。

なお、ここで取り扱う短歌賞は、現金を副賞として提供するコンクールや賞のみを対象としています。価額相当の物品、金券を副賞としているものは対象としていません。また、1千円、2千円程度の賞金額を定めているコンテストも、これを含めると範囲が広くなりすぎてしまうので対象から外しています。

本記事末において賞金額にこだわる理由などについて添えていますので、よろしければご覧ください。

賞金が出る短歌賞のリスト

大賞の賞金(最高賞金額)が高額な順に並べています。なお賞金額が同じ場合は賞金総額の多いものから順に並べています。

また、各賞の詳細についてはこの表の後においてそれぞれ紹介をしています。

短歌賞賞金総額要件締切
角川短歌賞30万円30万円50首連作5月
短歌研究新人賞20万円20万円30首連作5月
歌壇賞20万円20万円30首連作9月
令和相聞歌10万円35万円1首[注1]11月
角川全国短歌大賞10万円29万円1首9月
和歌の浦短歌賞10万円22万円1首2月
原阿佐緒賞10万円10万円1首1月
中城ふみ子賞10万円10万円50首連作4月
宮柊二記念館全国短歌大会5万円16万円1首7月
『やすまろさんへのメッセージ』コンテスト5万円13万円1首9月
令和独楽吟-橘曙覧顕彰短歌コンクール-5万円10万円1首11月
啄木コンクール5万円6万円20首連作1月
大伴家持大賞3万円8万円1首7月

[注1]令和相聞歌はジャンル不定です。短歌1首からでも応募できることを意味します。

賞金が出る短歌賞各賞の詳細

角川短歌賞

あの俵万智を輩出した短歌新人賞です。短歌のプロとしてデビューするための最も有名な新人賞かもしれません。短歌界の芥川賞などと言われることもあります。それだけにその賞金額も30万円と最も高いものとなっています。

一般的な短歌コンクールと異なり、50首もの連作を用意しなければならず、その敷居は極めて高いものがあります。賞金も同賞受賞の1名(ときに2名同時受賞も)のみで、賞金狙いのみの動機で獲得できるものではありません。いわゆる玄人向けの文学賞といえるでしょう。

賞金30万円(総額30万円)
募集内容短歌連作50首
最新公募第67回角川短歌賞
上記締切2021年5月31日

短歌研究新人賞

一般の知名度というところでは角川短歌賞に一歩を譲るものですが、しかし業界の知名度、そして多くの歌壇デビューを夢見る新人歌人にとって、その重みは変わらないものがあります。寺山修司を見出した短歌賞としても知られています。

賞金は受賞者1名(同時受賞あり)ですが、募集は30首と角川短歌賞より挑戦しやすくなっています。といってもやはりこちらも玄人向けの文学賞ですので、気軽に挑戦というわけにはいきません。

賞金20万円(総額20万円)
募集内容短歌連作30首
最新公募第63回短歌研究新人賞
上記締切2020年5月20日

歌壇賞

歌壇賞は本阿弥書店発行の短歌総合誌「歌壇」が募る短歌賞です。角川短歌賞、短歌研究新人賞と同じくプロの登竜門として業界に著名な公募新人賞として知られています。30首を募集しその賞金額は20万円と、短歌研究新人賞と同じ規模となっています。

賞金20万円(総額20万円)
募集内容短歌連作30首
最新公募第32回歌壇賞
上記締切2020年9月30日

令和相聞歌

「恋人の聖地」とされる香川県宇多津町が「恋」をテーマにした短歌を募集する短歌コンクールです。平成19年から続く「平成相聞歌」が改元とともに名称を新たにしたものです。最高賞金は10万円と、1首をのみ募集する短歌コンクールの中では最高クラスの大会となっています。また賞金総額においても35万円と最大のものです。

相聞歌と大会名にありますが、規程では「80字以内の恋をテーマにした文章作品」を募っており、実際受賞作品は短歌をはじめ川柳、俳句、短文など形式は様々です。

最高賞金10万円(総額35万円)
募集内容短歌1首
最新公募第2回令和相聞歌
上記締切2020年11月11日

角川全国短歌大賞

角川全国短歌大賞は角川文化振興財団が主催する短歌コンクールで、その受賞作は短歌の専門誌である角川『短歌』にも掲載されます。そのため、1首から応募できる一般向けの短歌賞の中でも広く短歌界に注目される権威の高いコンクールといえるでしょう。またその賞金額も、最高10万円、総額29万円とトップクラスです。前回第11回の応募総数は4,547首と非常に狭き門ともなっています。

最高賞金10万円(総額29万円)
募集内容短歌1首
最新公募第12回角川全国短歌大賞
上記締切2020年9月30日

和歌の浦短歌賞

紀州文芸振興協会が運営する短歌賞です。和歌山県和歌山市和歌浦は、日本中で唯一、歌枕にちなんで地名を変えた地域ともいわれています。そのため短歌に対する思いは強く、大賞1首(10万円)、審査員奨励賞3首(2万円)、佳作20首(3千円)とあり、賞金総額は22万円と極めて規模の大きなものになっています。前回第5回は約750首の応募があったとのことです。

最高賞金10万円(総額22万円)
募集内容短歌1首
最新公募第6回和歌の浦短歌賞
上記締切2021年2月28日

中城ふみ子賞

帯広市に生まれた歌人中城ふみ子を記念した短歌賞です。隔年で開催されています。他の短歌コンクールと比べ、50首もの連作を組まなければならないので非常に敷居が高いです。いわゆるプロ志向の文学賞といえるでしょう。

最高賞金10万円(総額10万円)
募集内容短歌連作50首
最新公募第9回中城ふみ子賞
上記締切2020年4月30日

原阿佐緒賞

宮城県黒川郡大和町が、同地出身歌人である原阿佐緒を記念して投稿を募る短歌賞です。その賞金額は一首から投稿できる一般向け短歌賞の中では、最高クラスの10万円となっています。ただし最高賞のみが賞金の対象であり、残念ながら他の優秀賞には賞金は設定されていません。前回第21回の応募総数は、一般の部668首、青少年の部4,138首となっており、賞金の対象である一般の部は比較的狙い目となっている賞といえるでしょう。

最高賞金10万円(総額10万円)
募集内容短歌1首
最新公募第22回原阿佐緒賞
上記締切2021年1月31日

宮柊二記念館全国短歌大会

宮柊二の業績を偲び、新潟県魚沼市が主催する短歌大会です。最高賞は5万円と比較的高額であり、また選者賞(2万円)2首、他の特別賞(1万円)7首程度が設定されており、総額は16万円とかなりの額が用意されています。第26回の一般部門の応募総数は871首でした。

最高賞金5万円(総額16万円)
募集内容短歌1首
最新公募第26回宮柊二記念館全国短歌大会
上記締切2020年7月31日

『やすまろさんへのメッセージ』コンテスト

日本最初の歴史書「古事記」を編纂した太安万侶(おおのやすまろ)を記念し、その生誕地である奈良県田原本町に開催される短歌コンテストです。一般の部と小学生の部とに分かれ、一般の部に賞金が設定されています。例年、最優秀賞(5万円)1首、優秀賞(3万円)2首、佳作(1万円)2首に賞金が与えられています。

第9回の一般の部には347首の応募がありました。その賞金額や席数に対して応募は少なく、狙い目といっていいコンテストかもしれません。

賞金5万円(総額13万円)
募集内容短歌1首
最新公募第9回『やすまろさんへのメッセージ』コンテスト
上記締切2020年9月4日

令和独楽吟-橘曙覧顕彰短歌コンクール-

福井市出身の歌人橘曙覧を記念し、同市が主催する短歌コンクールです。自由詠の自由短歌部門と、「たのしみは」で始まり「とき」で終わる短歌を募る独楽吟部門の2部門が設けられています。両部門とも最高賞のみに5万円の賞金が設定されています。

第25回の応募総数は、独楽吟部門が7,314首、自由短歌部門が1,039首。独楽吟部門は作りやすいことと学校単位での応募が多いためか、極めて狭き門となっています。

最高賞金5万円(総額10万円)
募集内容短歌1首
最新公募第26回 令和独楽吟-橘曙覧顕彰短歌コンクール
上記締切2020年11月30日

啄木コンクール

新日本歌人協会が募る短歌コンクールです。20首の短歌を募るもので、玄人志向のコンクールといえるでしょう。入選に5万円、佳作に1万円の賞金が設定されており、変動がありますが総額は最低で6万円となります。前回2020年度大会には55編の応募があったとのことです。

最高賞金5万円(総額6万円)
募集内容短歌連作20首
最新公募2021年啄木コンクール
上記締切2021年1月31日

大伴家持大賞

大伴家持の赴任地として知られる鳥取市が主催し、日本海新聞などが共催する短歌コンテストです。一般の部と児童生徒の部があり、一般の部に賞金が設定されています。最高賞金は大賞の1首に3万円。これに準大賞1首(2万円)、入選3首(1万円)が加わり賞金総額は8万円となっています。

第23回の一般の部の応募数は2,608首でした。

最高賞金3万円(総額8万円)
募集内容短歌1首
最新公募第26回大伴家持大賞
上記締切2020年8月31日

さいごに

短歌を詠むことは喜びであったり救いであったり、またはコミュニケーションであったり、その理由や存在、価値というものは人それぞれでしょう。そんな様々な理由の中で、しかし「お金」を理由にすることはあまり聞かれるものではありません。何か口にするのははばかられる、そんな雰囲気すらあるように感じられます。

しかし例えばプロスポーツの世界を目指す人が、または漫画や映画のような他のメジャーな文化的職業を選ぶ人たちが、そのジャンルに打ち込む理由に「お金のため」であることを掲げるのにはさほど違和感はありません。もちろんどんな世界においてもたった一つの理由で何かを目指すはずもなく、様々な理由が掛け合わされて動機となっているはずです。そしてその多くの理由の中の一つに「お金」があることは、きっと自然なことなのではないでしょうか。

もちろん、短歌の世界はお金が動くようなメジャーな環境ではないというのが、お金が理由として挙がってこない最大の要因なのかもしれませんが。

ではだからこそ、ここに少ないながらも短歌で賞金が出る短歌賞やコンクールを一覧で示し、短歌ファンの動機に「お金」というものを意識してもらいたいと思うのです。そうすることで、より多くの人がお金も一つの理由に短歌をはじめ、そして続けることで、また賞金を提供する短歌賞が増える。そんな短歌界の発展と拡張に資することが出来ればと考えています。

もしかしたら時に不純な動機に思われるかもしれないお金という理由を掲げることこそが、短歌の世界をより健全なものとする手立てであるのかもしれない、そんな可能性を信じて。

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