この記事では短歌ファンであればだれにとっても役に立つであろうWebサービスを紹介します。
そもそも短歌が好きなら知らない人がいるのかな?というほど有名で優れたサイトばかりを紹介するという蛇足的な記事ですが、もしも万が一知らな人がいるのであればそれはその人にとって少し不幸なことだし、そのためにその人が短歌的な何かを生み出す能力を十全に発揮できない可能性があるとしたら、それはすべての短歌ファンにとっての不幸といえるでしょう。
そんな杞憂にも思える心配を埋めるべく、こちらの記事において短歌関係のWebサイトをまとめていきたいなと思います。
また追加すべきサイトがあれば随時更新していきます。
TANKANESS
TANKANESS(タンカネス)は、短歌に特化したブログメディアです。といっても短歌研究みたいな専門誌のもつお堅い雰囲気はなく、もっと気楽な、良い意味でふざけた感じで短歌の魅力を伝えてくれます。
モットーは「短歌のすみっこを伝えるWebマガジン」。いい感じで力が抜けています。
ライターは発起人のなべとびすこさんをはじめ多彩な顔触れが並んでいて、それだけにこれまでの記事もバラエティーに富んだもとのなっています。
「地方で短歌をすること」などは同じ地方在住者として何度もうなずきながら読みましたし、「初心者向け短歌ワークショップに短歌初心者が参加したら、ちゃんと短歌が詠めた」みたいな短歌を普及させるような記事は読んでてやっぱりうれしくなっちゃいます。「歌集に出てくるごはんしか食べられない! 1週間歌集ごはん生活」なんか、いかにもウェブメディアの記事っぽくて笑っちゃいます。
2020年の現代に意識的にスタンスを置いて、短歌と向き合い、短歌界をとらえようとするTANKANESSは、現代短歌と付き合うすべての歌人にとって、これからますますその存在感を強めていくことは間違いありません。
うたの日
「うたの日」は、短歌ファンならだれでも参加できる歌会の場を提供するWebサイトです。一見個人のブログのようなデザインですが、連日200人を超える参加者でにぎわっている人気のサービスです。
このサイトでは、毎日投稿を受け付けており、1日に8つの時間帯に分けて題が提示され歌会の場が提供されています。投稿だけ、評価だけの参加も可能で、どのような歌歴やライフスタイルの方でも参加しやすいシステムとなっています。
日々の歌会で優秀な成績を収めた参加者は、月一回開催の「うたの人」なる、いわばチャンピオンズリーグのような選抜歌会に参加できる仕組みもあり、モチベーションも維持しやすい構造にもなっています。
歌会に参加してスキルを磨きたいと思っている方に、まずお薦めしたいWebサイトです。
うたよみん
「うたよみん」は短歌を投稿して楽しめるスマホアプリです。またWebからの利用も可能となっています。70文字制限の中で一首づつを投稿していき、またほかの人の投稿を読み、コメントを寄せながら「よいね!」を押して押されてゆるくつながる、SNSにも似たサービスといえるでしょう。短歌限定のTwitterととらえてもいいかもしれません。2013年のリリース以来、これまでに投稿された歌数は70万首にものぼり、非常の多くの短歌ファンに利用されています。
投稿は、自分好みの縦長の背景に縦書きでされます。なんとなく短冊のようでもあり、なによりこの縦書き対応というのが、やはりとても気持ちいいものがあります。短歌実作者なら多くの共感者がいるのではないでしょうか?また、きれいにルビをふる機能があるのもうれしいところです。
著名な歌人では枡野浩一さんが積極的に利用されているのが目立ちます。というより立ち上げ時から大きくかかわっているようです。
自作歌のストックする場として活用してもいいでしょうし、新しい感性を浴びるような目的でも使えるでしょう。短歌を気楽に純粋に楽しめるサービスです。
うたのわ
短歌投稿サイトとしては老舗といえ、そのスタートは古く2008年からになります。
全体的になんとなく文語の歌が目に付くような気がします。サイトデザイン的にも「短歌」というより「和歌」という気分を感じさせます。そのためか投稿歌の印象も他の投稿サイトに比べると、伝統的というか和歌的、または近現代的な雰囲気です。
なにしろ投稿する際に「歴史的仮名遣いに変換する」機能まであるのですから、そういったスタイルの方に好まれるのは当然といえば当然でしょうか。
今のネット上で見られるような、流行りの歌のスタイルとは少し違う場を提供しているといえるでしょう。それは「うたの日」「うたよみん」と上手く住み分けがなされていて、それぞれの利用者にとってとても好ましい状況なのではないかと思います。
常日頃からあまり主義が異なる者同士が競い合ったり評価しあっても、メリットよりデメリットが多い気がします(たまになら価値があると思いますが)。やはりホームグランドは自身の基本スタイルを強化する場であるべきでしょう。
文語派の短歌ファンにぜひともお勧めしたいサービスです。
猫づくし!『猫のいる家に帰りたい』(歌:仁尾智,絵:小泉さよ)好評発売中!
短歌ポータル tankaful(タンカフル)
歌人として著名な光森裕樹さんが運営するサイトです。
そのスタートは2006年とかなり古くから活動してきたサイトです。残念ながら2017年12月31日を最後に更新は途絶えていますが、これまで非常に多くの良質なコンテンツを生み出してきました。
「短歌賞の記録」「資料室」などの情報をまとめてくれているのは普通に役に立つというかありがたい限りですし、「試験に出ない短歌の数字」などのユニークな記事は読みごたえがあります。残されたコンテンツのほとんどは今でも見ることができるので、もしかして消えちゃわないうちに全部読んでおきたいサイトです。
いつか必ず復活再開してほしいサイトでもあります。