作中主体 とは

作中主体(または主体)とは、短歌における批評用語です。作品世界を描く人格を表す言葉ですが、作者とは明確に異なるニュアンスで用いられます。

概要

短歌作品の中における、実体験的な詠風から読者が感じられる主人公そのものであり、またはそれを客観視的に視つめながら描き、あるいは感情を吐露する仮想的な作者を意味します。

ある特定の作品範囲(1首から連作、歌集単位)中にのみ存在し得る仮想の作者(詠み人)、ともいえるかもしれません。

このことは、とくに現代短歌の世界で作中主体と言う場合、おおむね読者が感じる作者は、実在の作者個人とは異なることを意味しており、十分に注意しなければならないことが共通的な認識になっています。

使用例

例えば「この歌における作中主体は、恋愛に傷ついた女性であり云々」「この連作で、作中主体は非常に不遇な幼少時代を経験しており云々」などと使用されます。このとき評者は作者個人を必ずしも女性とは思っていないし、不遇な実体験があるとは思っていません。

理解を助けるためのWeb上の用例

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