この記事では、照明器具の中でもレトロでおしゃれなデザインのペンダントライトを紹介します。
吊り下げ式のペンダントライトは、室内空間のまさに中心に位置することになります。他にアレンジの選択肢がない天井空間をレトロな雰囲気に仕立て、ひいては部屋全体のレトロなコーディネートを完成させるためにも、きわめて重要なアイテムといえるでしょう。
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真球グローブ型シェード
初期の電灯のスタイルはあまりにも単純でした。人体や燃えるものが触れることを防ぐことが発想の原点でありすべてでした。素材としては比較的安価で、加工がしやすく生産の担い手が至る所に存在する、ガラスが用いられました。真球グローブ型のシェードが最も最初期のシェードの典型であるといえるでしょう。高い技術力が求められるようにも感じますが、吹きガラスの製法からすれば真球が基本の形状であり、特になんの工夫もなく伝統のシェードとして用いられたようです。
スタイルとしては、アンティークを意識するような古いスタイル、明治、大正、昭和初期のコーディネートに用いられるべきデザインといえるでしょう。
P1シェード
P1シェード(ミルクガラス)
真球グローブ型は諸々の問題により比較的早期に姿を消しました。重量感があり取り回しに苦労したでしょうし、また昔のガラスは少しの衝撃で割れやすかったことでしょう。なにより大げさで圧迫感があり、中流以下の一般的な和室や調度品とは合わないということが大きかったかもしれません。
あらたに登場したのがP1シェードと呼ばれる形状でした。電球の上部にちょこんと小さな傘を乗せただけのスタイルは、ホコリの堆積を防ぎ火災防止の役割と、光を無駄に天井に逃がさない効果(非常に微々たるものですが)を持っていました。
さまざまな素材、形状、塗装色がありますが、乳白色のガラスを用いたものがおよそ最初期のスタイルといえるでしょう。大きさも小ぶりであればあるほど、より古さを感じさせてくれます。
大正、昭和初期のスタイルにぴったりですが、それ以降の昭和レトロスタイルに用いても時代の幅を持たせるアクセントとして機能し、問題なくフィットしてくれることでしょう。
P1シェード(金属 & ホーロー)
金属やホーローを思わせる素材感は、より後期のP1シェードらしさがあります。また、照明器具の形状には、あまり国内外の地域差によるイメージの違いはありません。ですので、スタイルを象徴するカラーリングを与えることで、それぞれの空間にフィットするアイテムとなってくれます。
無骨なグリーンは戦中戦後の雑多な印象のジャパニーズスタイルにベストマッチしてくれるでしょう。ホワイトならシャビーシックスタイルにそのまま使えます。ブラックならブルックリンスタイルに上手く合ってくれることでしょう。
P1(サンディッシュ & ランプガード)
錆加工はさほど見た目的にキレイ目を求めない工場などでの使用を思い起こさせます。また、長物が当たる事故を防ぎ、照明自体の位置や方向を変えることも多い工場では、ランプガードも付いてると極めてインダストリアルな雰囲気になってくれます。
当然、工業的や都会的な印象が似合います。インダストリアルスタイル、ブルックリンスタイル、そして西海岸系をベースにマリンスタイルなども船内電灯らしさから似合うアイテムといえるでしょう。
花形シェード
共同照明 GT-DJ-MS
P1シェードが大いに流行した後か同時期ぐらいに、花をモチーフとしたシェードも大いにウケました。大小新旧様々なメーカーの電灯が生まれた中で、これといった典型はありませんが、モダンに過ぎない、シンプルに過ぎない形状であれば昭和の古い時代を感じさせてくれることでしょう。色ガラスの方が品質を安定させられなかった時代性を感じさせてくれて、よりらしい感じがします。
フレンチアンティークカフェミルクガラスペンダントランプ
色ガラスとともにすりガラスやミルクガラスもまた同じように、当時の花形シェードらしさを醸し出します。当時はクリアガラスのシェードもあったわけですが、真球グローブ型の反省、眩しさの低減効果などの、理由を感じさせる説得力のある時代性があります。
トロジャリヤ型シェード
ART WORK STUDIO – East collage pendant
アメリカで生まれ流行したトロジャリヤ型シェードは、日本の照明器具に現代的な美を持ち込んだといえるでしょう。真球グローブ型と同じような欠点(重量感、圧迫感、飛散危険性)を抱えていたことと、日米の文化の差、豊かさの差により、その流行は非常に限定的だったといえるでしょう。レトロな照明器具としてあまり印象にない方も多いかもしれません。
一方で説得力を持たせつつ、室内空間に個性を持たせるのには非常に適しているといえるでしょう。ほとんどのアメリカンスタイルはもちろん、大正、昭和レトロ、ミッドセンチュリーといった初期から中期の、比較的リッチ寄りのレトロスタイルにはどれにもフィットしてくれることでしょう。
インダストリアルスタイル
ファクトリースタイルとも呼ばれる形状は、当時はファクトリヤ型などとも呼ばれていました。当然、工業的、都会的スタイルにベストマッチします。一方で小ぶりであれば昭和レトロにも合わせることができます。昭和というまだ家内工業が生き残っていたり、町工場的な住宅地域と工業地域の混在によるインテリアスタイルのミックスという、らしさを生み出してくれるでしょう。ポップなカラーであれば昭和後期のポップスタイルやフューチャーレトロなスタイルにも挑戦することもできるでしょう。
比較的珍しい形のインダストリアルスタイルの照明器具です。といってもそもそもインダストリアルスタイルにこれといった決まった形状があるわけではありません。装飾性がなく大雑把で大ぶりであれば、らしいといえるでしょう。個性的な空間を演出したければ、こういったしっかりと基本を押さえたアイテムを使うことが大切です。
レトロチックなインダストリアルスタイルでも、後期の形状といえるでしょう。大きな電力を扱えるような機構が比較的現代的です。古すぎないスタイルは割とキレイ目の空間にも合わせることができます。また、女性的とくにシックなガーリースタイルにも合わせることができる形状でもあります。
ペンダントライト 4灯 カンテ
極めて現代に近いレトロスタイルならこちらの形状が良く使われるプロダクトといえるでしょう。インダストリアル、ブルックリン、カリフォルニアスタイルといったスタイルに似合う照明です。
Samzim PH5 レプリカ
PH5は、1958年にポール・ヘニングセンによって生み出されたミッドセンチュリーデザインの傑作です。ミッドセンチュリー以降のリッチでポップでモダンな空間には最適なアイテムです。
R&M Interior Store PH アーティチョーク
PH5と同じく1958年にポール・ヘニングセンによって生み出された名作です。よりエキセントリックな空間演出に使うことになるでしょう。また花をイメージさせることから女性的な空間演出という計画にも利用できることでしょう。
Lxhgl スプートニク ペンダントライト
レトロフューチャー、特にスペースエイジと表現するときのカルチャーにぴったりな照明器具です。スプートニク1号を彷彿とさせる球体と直管が、当時の未来と宇宙を感じさせてくれます。
Herman Miller George Nelson Bubble Lamp Pendant Saucer
アメリカンミッドセンチュリーを代表するデザイナー、ジョージ・ネルソンは、代表作ネルソンプラットフォームベンチでよく知られています。ハーマンミラー社のデザイン部長を務めた彼は、当然それだけではなく様々なプロダクトを手掛けており、照明器具においてもネルソンバブルランプという名作を生み出しています。
アメリカンミッドセンチュリーをはじめとしたリッチでシックな空間において非常にマッチすることでしょう。
LE KLINT ペンダント KP172A
デンマークのデザイナー、P.V.イエンセン・クリントによって生み出されました。今では安っぽい印象のプラスチックですが、登場した当時は夢の素材でした。そんな素材を手にしたデザイナーが情熱を注いだレ・クリントの代表作は、スカンジナビアンミッドセンチュリーはもちろん、未来的な世界観にもマッチしてくれることでしょう。