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レトロとは?様々なレトロスタイルを紹介します

RETRO STYLES

ファッションやインテリア、デザインの世界においてレトロというキーワードをよく耳にするかと思います。ファッションでは90年代あたりのリバイバルを中心に、レディースだけでなくメンズでも数年前から大いに流行しています。インテリアの分野ではカフェや飲食店におけるスタイルとして多くみかけるようになりました。電化製品や工業製品においても影響は広がっています。それはもはや一過性のブームではなく、スタンダードなジャンルとして定着したかに感じます。

様々な分野でデザインスタイルとしての定番カテゴリーとなっている「レトロ」というものをしっかりと理解し、押さえておきたいものです。

Image by Ajeet Mestry on Unsplash

レトロとは?

そもそもレトロ(Retro)とは、もともとレトロスペクティブ(Retrospective)の略語であり、その意味は「回顧」だとか「懐かしむ」といった意味の言葉になります。

レトロな物といえば「こんなのあったよね!懐かしい!」と思える程度に古い物を指しますし、レトロ好きといえば、自身の経験上で知りえた懐かしい物だけでなく、古いものを愛したり魅了を感じる嗜好のことを言います。

懐かしむことができる距離であることが大切

懐古主義とも訳されるレトロですが、古ければ何でも良いのかというと、そうではありません。200年前の江戸時代の骨董品や5,000年前の発掘品を愛好するのとは少し違います。

大切なのは懐かしむことができる程度の距離であるかということです。つまり、自身が体験した時代のモノか、または生まれる前であっても体験者から直接話を聞け、その息遣いを感じられる時代のモノであるか、ということになるでしょう。

今日2020年という地点から時代を振り返ったときに、レトロといえるのはざっくりといえば20世紀、特に第二次世界大戦後の1950年から2000年までの期間の文化がレトロといえるのではないかと思います。

様々なレトロスタイル

一口にレトロスタイルといっても、国や時代によってさまざまなスタイルがあります。ここではその代表的なスタイルを簡単に紹介したいと思います。

昭和レトロスタイル

昭和の元号が示す通り、日本らしさを意識したアイテムでコーディネートされる必要があるでしょう。昭和といってもそのまま元年から64年(1926年~1989年)までの期間をさすことはありません。それも間違いではありませんが、やはり戦後から平成との境界期に至る前の、西暦でいうところの1950年~70年代をイメージする場合が多いでしょう。

昭和レトロが示す期間は、高度成長期と一致します。それは雑多で文化的にカラフルです。また、戦前までに形作られた権威性が敗戦で否定されたため、調度品のイメージにおける高級感は薄く常に庶民的です。そして当然ながらアメリカからの文化的影響を色濃く受けています。アヴァンギャルド、モダニズム、サイケデリックな文化もよく受け入れられた国であり時代でした。

混成的ではありますが、どちらかというとチープなアイテムがらしさを演出します。比較的ダークな仕上げの木材、ブリキ、プラスチック、ビニール、シンプルな花のモチーフ、スタンダードではないプロダクト、グローバルではないデザイン、などの要素が印象的です。

昭和レトロは、高級志向でありシックでダークな色合いのジャパニーズ・ミッドセンチュリーや、庶民的でポップなカラーリングの昭和レトロポップといった、よりイメージを絞ったテーマに細分化されます。両者は正反対な性質を持っていますが、昭和という言葉はこれらも包み込む懐の広さを持っています。ですので、広義の昭和レトロといったスタイリングであってもイメージの崩壊を招きません。

ブルックリンスタイル

男前スタイルなどともいわれ2015年前後に流行したインテリアスタイルの一つです。その中でも特にブルックリンスタイルというとき、そのスタイルはニューヨーク市の5つの行政区の一つ「ブルックリン」のライフスタイルに由来します。

ニューヨークは経済、金融、文化、芸術においても世界の中心的都市ですが、経済の中心であるマンハッタン地区に対し、ブルックリン地区は文化の中心としての性格を持っています。

そんなブルックリンスタイルを構成する要素としては、東海岸都市らしい歴史的素材(ウッドやレンガ)や、有数の工業地域らしさがある素材(アイアン)と風合い(オイルステイン)、貧困と犯罪のイーストニューヨークを感じさせる劣化具合(ダメージ)やチープさです。そしてそれらに共通するイメージカラーの黒を基調としたコーディネートです。

ジャンル的な自由さはインダストリアルスタイルと融和的な程度とアレンジしにくいです。一方年代的な自由さは、歴史的に常に魅力的であり続けた街のスタイルだけにモダンなスタイルも比較的取り入れやすく、50’s~00’sと幅広いものがあります。

カリフォルニアスタイル

アメリカの西海岸文化を象徴的にまとめたスタイルが「カリフォルニアスタイル」です。東海岸文化を象徴するスタイルが「ブルックリンスタイル」ですが、アメリカンスタイルと一言でまとめきれない、いわば正反対な要素で成り立ちます。

色合い的には日差しに強い塗装色である白と青系が選ばれます。そして西海岸都市らしい歴史の浅さを感じさせるシンプルさが重要となるでしょう。また、観光地らしい豊かさと治安の良さをにおわせる、明るさや幸福さというものも大事にしたいです。もっとも豊かさといっても経済都市や工業都市的なゴージャスな豊かさではなく、貧困に負けない余裕という感じでしょうか。

ジャンル的にはインダストリアルやブルックリンとは真逆にあります。また、フューチャーレトロ的なファンタジックなスタイルとも遠いポジションにあります。年代的には60年代は特にサーファーズスタイルに譲るとして、70年代から90年代というイメージを持つと良いでしょう。

(フレンチ)シャビーシックスタイル

シャビーには「ボロボロの」「汚れた」などといった意味があります。一方シックには「上品」だとか「落ち着いた」などといった意味があります。大人の上品なダメージアイテムとでもいえるでしょうか。一般的にシャビーシックというときフレンチシャビーシックをさすことが多いです。

フレンチのイメージが大きく、高級、上品そして古典的です。またアメリカンなどに比べて非都会的、非工業的ともいえるでしょう。無垢に近い木材、白い塗装、退色した塗装(ベージュ、グレー、ブルーグレー、サックスブルー)、パインウッド、アイアン、控えめなゴールドなどといった素材で構成されます。また、調度品にさりげないロココやアール・ヌーヴォー調の優雅で繊細な装飾があれば、らしさを演出してくれることでしょう。フランスのイメージと相まって特にガーリー(女性的)なスタイルといえるでしょう。

フレンチカントリースタイルといってもほとんど同じ意味合いになります。レトロという言葉よりイメージ的に古いアンティークな年代のアイテムも受け入れます。また、フレンチ以外のイングリッシュやジャーマンといったアレンジも受け入れる懐の広さがあります。

大正モダン(大正ロマン)スタイル

レトロという言葉からイメージされる時代範囲からさらにさかのぼって、アンティークという言葉のほうがより適したイメージがあります。事実大正期というと1912年から1926年にあたり、100年を超えてしまうところがありますし、特に日本では戦前になってしまうと文化的断絶が強く、アメリカナイズドされた現代人からすると江戸時代以来の文化を色濃く残していた大正期は、懐古という印象よりも神話的なイメージに近くなってしまうことでしょう。

一方で今日まで長らく残ったイメージは、一般化し、より普遍的なイメージとなっています。レトロという方向性で何かをデザインをする、創作を行う、イメージを与える、というときに、比較的楽に形作ることができ、また受け手との乖離が少なく届けるものに間違いがないというメリットがあります。狭義のレトロとはやや外れるスタイルながら、広義のレトロとしてはメリットも大きく、どさくさ的に語られやすいスタイルです。

建築でいえば木造瓦屋根に真壁造りながら洋風窓を持っていたり、畳間にテーブルとイスを置いたり、ファッションでは袴に革靴を履いたりと、和洋折衷というか混在という様相が多くみられます。無理やり感がありながらもミスマッチではないセンスのいい取り合わせが魅力です。

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