インターネットプリント(以下ネプリ)サービスは、ネット上でファイルを登録し、全国のコンビニなどの店舗に設置されているマルチコピー機で印刷できるサービスです。このサービス、コンビニグループごとに提供されているようにも感じますが、実際はマルチコピー機のメーカーごとにそれぞれのサービスが提供されているのが実態です。
以下では各ネプリサービスについてそれぞれ詳しく解説をしています。
なお本稿は、「短歌のネプリを作り配信するためのガイドライン」のサブ文書的位置付けです。そちらも併せてお読みいただければ幸いです。
ネプリサービス4系統を知る
ネプリサービスを提供しているマルチコピー機メーカーは4社です。この各社が提供するサービスの名称および規模については次の通りです。
メーカー | サービス | 設置店 | 設置店舗数 |
---|---|---|---|
シャープ | ネットワークプリント | ファミマ・ローソン等 | 約30,000店 |
富士フィルム | ネットプリント | セブンイレブン | 約20,000店 |
リコー | おきがるプリント | イオン・ダイソー等 | 2,652店 |
京セラ | Anytime Print | デイリー・セコマ等 | 2,302店 |
各社のマルチコピー機の設置数
シャープ(ネットワークプリント)
- ファミリーマート:16,247店(2025年3月時点)ソース
- ローソン:14,643店(2024年2月時点)ソース
- ポプラグループ:277店(2024年2月時点)ソース
- ミニストップ:1,846店(2025年3月時点)ソース
シャープのマルチコピー機を導入している4つのコンビニグループの合計は33,013店。ネットワークプリントサービスの説明ページでは「約30,000店舗で利用できる」とあり、狭小店舗や特殊な形態の店舗を除いた9割以上の店舗で利用できることを示しています。その数からもっともアクセスしやすいサービスと言えるでしょう。
富士フィルム(ネットプリント)
- セブンイレブン:21,740店(2025年4月時点)ソース
富士フィルムのマルチコピー機を導入しているのはセブンイレブンのみです。独占的な提供のためセブンのサービスというイメージすらあると言えるでしょう。マルチコピー機の設置数については正確な数字は公表されていません。しかしながらシャープ系の実態と同じく、狭小店舗や特殊形態店舗の割合は似たようなものでしょうから、9割超の店舗、約20,000店に設置しているものと考えて良いでしょう。
リコー(おきがるプリント)
- リコーマルチコピー機設置店:2,652店(2025年5月時点)ソース
リコーのマルチコピー機は、イオン、マックスバリュ、ザ・ダイソーの3企業をメインにしながら、さまざまなコンビニ、ドラッグストア、スーパーに導入されています。各グループ店舗における設置割合はまちまちで、各社の店舗数から設置実態をうかがい知ることは難しくなっています。リコーが提供する「おきがるプリント」のページでは実際に設置店を検索でき、その数は2,652店となっています。
京セラ(Anytime Print)
- デイリーヤマザキ:1,105店(2025年5月時点)ソース
- サンドラッグ:15店(2025年5月時点)ソース
- セイコーマート:1,188店 – 6店 = 1,182店(2025年4月時点)ソース1, ソース2
京セラのマルチコピー機を導入しているのは3つのコンビニ・ドラッグストアグループです。各社で設置率に偏りはありますが、おおむねかなりの割合の店舗に設置されているようです。京セラが提供する「Anytime Print」のページでは実際に設置店を検索でき、またセイコーマートでは非設置店舗数を公開。これらのことから2,302店で利用できると考えて良いでしょう。
各社のサービスの特徴
印刷可能期間
- シャープ:30日間(740時間)
- 富士:7日間(168時間+最終日の23時59分まで)
- リコー:3日間(74時間)
- 京セラ:7日間(168時間 + 毎時単位となるよう時間を追加)
印刷番号の仕組み
- シャープ:ファイルボックス型
(ただし「シェア用ユーザー番号」の機能で3個まで別にファイルボックスの番号を作れる) - 富士:文書番号型
- リコー:文書番号型
- 京セラ:文書番号型
シャープ系だけがゆいいつファイルボックスにまとめてひとつの番号が発行される、ファイルボックス型を採用しています。他3社は、文書毎に番号が発行される文書番号型になります。ファイルボックス型は仮に個人的なファイルを登録していた場合それも印刷されてしまう恐れがあります。しかしながら「シェア用ユーザー番号」を使うことで、プライベート用と公開用にボックスを分けることができるので、文書番号型の良いところも取り入れたハイブリッド型として利用することが可能です。シャープ系が一歩優位な形を採用していると言えるでしょう。
各社のモバイル利用対応
4サービスともスマホアプリ(iOS、Androidのどちらも)を提供しています。
- シャープ:ネットワークプリント / for iOS, for Android
※ファミマ専用の「ファミマネットワークプリント」もありますが非推奨です。 - 富士:ネットプリント / (netprint) for iOS, for Android
※ネットプリントのアプリにはユーザー登録不要の「かんたんnetprint」もあるが、登録必要の「netprint」を推奨。 - リコー:RICHO おきがるプリント&スキャン / for iOS, for Android
- 京セラ:Anytime Mobile Print / for iOS, for Android
結局どのサービスを利用すべきか?
全国の利用者に対して印刷物の提供を実現するためには、広くむらなく全国をカバーするシャープ系か富士フィルム系を選べば、ひとまず十分な感じがします。特にシャープ系は約30,000店で利用でき、ひとつ抜けた存在です。しかしながら県域レベルで観察すれば十分なカバー率に見えるものの、市域レベルで観察すれば、この2系統のサービスを選んだだけでは空白地を完全に埋めることはできません。自身に余裕がある限りは、4系統すべてのサービスを利用してネプリを配信したいものです。